恋人に近いような不倫相手との生活

恋人に近いような不倫相手との生活

木菜美はセフレ以上恋人未満。いや、少し恋人に近いかな。

最近になって、徐々に恋人気分が高まってきた。これはもう立派な不倫だ。

単身赴任で山形市に引っ越してから、孤独感と欲求不満を解消するために風俗通いを続けた。だが金が続かず、セフレを求めて出会い系に登録。俺にとっては風俗嬢もセフレも似たようなものだから不倫ではない。千葉にいる妻への罪悪感は微塵もなかった。

出会ったのは四歳年下の保育士の木菜美。少し子供っぽいところがあるが、セクシーな身体をしていたのでセフレにしたいと思い交渉した。木菜美は拗ねた目でこう言う。

「身体の関係だけっていうのは寂しすぎます」

心まで許す気はない俺は地道に交渉を続け、ある条件に応じることでセフレ関係になることができた。その条件とは、セックスする前に必ずデートすること。嘘でもいいから会うたびに最低一回「好きだ」と言うこと。

この程度の条件でセフレが手に入るのならと、俺は快く応じた。

会ったらまずデートする。食事したりウインドウショッピングしたり、映画を観たりした。俺はそんな恋愛ごっこが苦痛だったが約束だから仕方ない。木菜美はときどき身を寄せてきて腕を組みたがるが、うっとうしいので拒否。寂しそうだが腕を組むことは条件には入っていないので我慢してもらう。

だが相性はよかった。一緒にいて退屈することはなく、会話がなくても不思議な安心感があった。

デートが済むと、今度は俺の権利を行使する時間が始まる。セックスする場所はホテルか彼女のアパート。中に入るなり、すぐに裸にしてそのエロい身体を食べる。時間をかけてたっぷりとセックスを楽しむ。

「大輔さんは会社でも人気あるでしょうね」

セックスのあと、ブラを豊かな胸にはめながら木菜美が言う。

「ないよ。こっちの営業所には女いないから」

「そうなんだ・・・よかった」

一瞬、したりげな光が目に浮かぶ。

「大輔さんさえ心を開いてくれたら、いっぱい尽くすのにな。現地妻になってもいいのにな」

子供っぽい甘え口調。

ある日、木菜美のアパートに行ったが、昼食をとっていなかったので何か食べさせてくれとお願いした。すると木菜美は自分もこれから昼食だと言う。

「卵かけご飯だけど・・・ごめんね。これ私の好物なんだ」

「本当? 実は俺も好きなんだ、それ」

これは嘘ではない。卵かけご飯ほど美味しいものはない。ふたりは奇妙な点で一致していた。

「大輔さんの心の合い鍵を見つけたかな」

真面目に見つめ合っているのが照れくさくなり、俺はふざけてこう言った。

「今度、精子かけご飯でも食べる? 同じ卵だから問題ないだろう」

「やだあ・・・・もう」

それから木菜美との心の関係が生まれた。デートにかける時間も長めになってきている。

そして、腕を組んで歩いている。

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