二十代の女を見かけるたびに思う。
「ああ、若い女とやりたいな」
俺は四十五歳だが、年をとるごとにその思いが強くなっていく気がする。昔にくらべて体力は確実に落ちているが、性欲だけは衰えを知らない。
レベルの差はあるだろうが、男なら誰しも俺と同じ願望を持っているにちがいない。決して現実化しない妄想の中で二十代の女とセックスし、自らを慰めているにちがいない。そして射精のあとこう呟くのだろう。こんなことあるわけないか、と
だがそれは決して夢物語ではないことを、出会い系に行って知った。嘘だと思うかもしれないが、俺は地元郡山市に住む二十八歳のOLと五回もセックスさせてもらった。出会い系では、四十五歳でも二十代の女性とセックスするチャンスが十分にある。
快活な印象があった。写真を見ただけでピンときて、ダメもとでメール連絡。しばらくメール交換したあと、会ってくれるかどうか訊いてみる。
「来週の日曜日なら暇かな」
「ぜひ会いたい」
ところで中年男が出会い系に二の脚を踏みがちなのは、中年男が若い女に人気がないと案じるからだろう。確かに人気はない。若い女は若い男を好むのが基本。中年男でもステータスが高ければ何とかなると考えたくなるが、相手のプロフと写真だけでパートナーを決める出会い系ではあまり意味はないと考えた方がいい。俺も彼女に出会うまでに二、三回断られた。
だが会ってしまえば流れが変わる。
実際に心を通わせてみると、年齢を超えて共感できるものが生まれるのだ。言葉を交わさなくても感じ合えるもの、とでも言おうか。年をとっていようがいまいが、そこにいるのは男と女なのだと気づく。
彼女は両肘をついて顔を乗せると、甘ったるい目をしてこう言った。
「もしかして不倫したいんですか? 若い女と遊びたいんですか?」
「不倫願望はない。でも若い女性と遊びたいって気持ちはある」
「私は基本的に不倫が苦手です」
「長く付き合う気はないよ。デート数回でいい。俺も不倫のリスクは抱えたくないからさ」
「それを聞いて安心しました」
女房とは比較にもならない美しい体型と、餅のような肌。俺は二十代の女の身体をこれでもかというほど味わった。それはまるでセックス初体験。女房としているお勤めはセックスじゃないことを改めて知る。
「君に会えてよかった。出会い系に来てよかった」
「そう言ってくれると嬉しいかな」
彼女の瞳が光る。学生時代、クラスの女の子とそういう視線を交わしたことをふと思いだす。
彼女から連絡してくることはない。会いたくなったら俺が連絡して、暇な日を見つけて会ってもらう。彼女にはどうやら他に彼氏かセフレかがいるみたいで、別腹ではないが気晴らしに俺に会っているような感じだった。でもそれで十分。二十代の女とセックスできるのだから。
最後と決めた日、彼女にさよならを言うと「ありがとう。楽しかった」とにこやかに答えてくれた。
また機会を見て出会い系に再挑戦しようと思っている。
二十代女性を抱きたいと思っている中年男よ、臆するな。
二十代も三十代も四十代もへったくれもない。
出会うのは男と女だ。